店の定休日のある日、いつものように朝のごみ捨てをしながら、飼ってい
る犬の散歩に出掛けました。
家の前の集積時にごみを置き、犬の散歩とは名ばかりで、実際には、小柄
の私が、ミニチュアダックスフンドと白い大型犬の二頭に引きずられての
、往復30分程の散歩に向かいました。
爽やかな朝の風が吹く川原の堤防に沿って歩き、途中に有る広場でしばら
くの間遊びましたが、そうして遊ぶのは定休日の朝だけですから、二匹も
思う存分飛び回っていました。

20〜30分ほど遊んだいでしょうか。
もっと遊びたがっていた二匹を、無理やりっぽく引き連れて、家への道に
歩を進めました。
すると、家に近付いた二匹の歩幅が大きくなり、急ぎ足に成ったんです。
どうしたんだろうと思っていると、その二匹の視線の向こうに、広い道路
の真ん中で、トマトケチャップの空き缶に頭を突っ込んだままの猫が倒れ
ていたんです。

目立った外傷はなかったんですが、何せ、道路の真ん中でしたから、もう
車に引かれて死んでしまっていたとしても、見て見ぬふりが出来ず、取り
敢えず、これ以上車に踏まれないようにと、一旦歩道に上げておいて、市
役所が始まる時間に成ったら清掃施設課に連絡して引き取りに来て貰おう
と思いました。
かと言って、素手では抵抗が有りましたから、何かないかと周りを見渡す
と、街路樹の脇に丁度良い大きさの板が落ちていたんです。
それを手にし、車の来ない事を確かめながら、恐る恐る猫の脇腹の辺りに
板を差し込み、持ち上げようとした時、突然身体が動いたんです。
てっきり死んでいると思っていた猫が生きていたので、一瞬戸惑いました
が、生きていると分かれば、当然の事として助けなければいけません。
でも、片手では無理なので、二匹の犬のリードを街路樹に縛り付け、また
、猫の所に急いで戻ると、頭からすっぽりと空き缶がはまっていましたか
ら仕方なく、その汚れた空き缶を素手で掴み、思い切って引っ張ってみた
んです。
すると、運良くすっぽりと抜けたんです。
空き缶から出て来たその顔は、トマトケチャップで真っ赤で、まるで血だ
らけと錯覚するほどでした。

突然視界が開けた猫は、まん丸にした目で私の顔をじっと睨み付けたんで
す。
“大丈夫かい?”
そう声を掛けたのと同時に、脇道に向かって一目散に走って逃げて行きま
したが、突然止まり、私の方を振り返り、そのまま、しばらくの間身体を
丸めて、その場にとどまっていました。
それを見ていた私は、きっと感謝しているんだろうと、勝手に考えてはホ
ッとしていました。

その後、街路樹に縛り付けておいた、我が家の居候の二匹と家に向かいま
したが、何となく、褒めてくれているような、仲間を助けてくれた事に感
謝しているよって言っているようでした。
それは、ほんの一瞬の出来事でしたが、朝から良い事をしたのが嬉しくて、
その日は一日幸せな気持ちに浸れていました。





『1/fゆらぎ』は心地良い